無音
ふと目覚めてしまった真夜中
夢と現実の両方に足をかけたまま
再び眠りに吸い込まれていく時を待つ
車が1台通り過ぎていった
そのあと何秒か何分かわからないが
無の音が流れていた
すると彼方で風が虫を怖がらせたらしい
ギーギーという羽音が聞こえた
そして再び無音の世界へと時は移りゆき
いつしか私は眠りの世界へと引き込まれていた
気持ちのよい朝日を浴びながらゴミを出しに行くと
あのギーギーという羽音が聞こえてきた
「おはよう。」
と言ったように聞こえた
無音とアンニュイな世界がくれた
小さな無のギフトだった