パワフルゼロ0の力
2006/10/27

ゼロ…0
ゼロという数の神秘をあなたは知っていますか?


ゼロという数は、数学という世界では神秘なもの、信じがたいような真実を持ったものとして畏敬と恐怖の視線を浴び続けてきました。
歴史に名を連ねた多くの数学者や物理学者たちは、数秘術の中にあまりにも美しく隠された秩序と真実を発見してさぞ驚いたことでしょう。
 ピュタゴラスと並ぶ数学者かつ哲学者であったデカルトにとって、「0」は無限同様、神の領域に潜むものでした。 0は無なのだから、知識さえも創造できない。よってあらゆる考え―あらゆる哲学、あらゆる概念、あらゆる将来の発見―は、人が生まれたそのときに、その脳の中にすでに存在している。と彼は考えたのです。
 16世紀に入り、「0」の奇妙な性質を解き明かすために、虚数iの世界に学者たちは乗り出したのです。ライプニッツは虚数iを存在と非存在が奇妙に入り混じったもの―いわゆる二進法の1(神)と0(無)の中間のようなものではないかと考えました。
 さらに時は進み、科学者アインシュタインは、0という物理学の世界に入りました。量子力学の複雑な点の発見をするに連れて、ますます0の脅威は明らかとなっていきました。ゼロのエネルギーでした。

 無である0には無限大に力がある!と考えた人がいました。
オランダの物理学者カシミールの名がついた、カシミール効果の登場です。 この0の真空の力、無の生み出す幻影のような謎めいた力は、まるでSFのようだが、本当に存在する。ということを実際の測定によって、立証するに至りました。
 そして、0はついに数学の世界を飛び出し、物理学の世界ではブラックホールに発達し、学者たちに闘いをよどんできました。今では天文学者、科学者らを巻き込み、ビックバンの宇宙の無を紐解く地点にまで、0の世界は我々人類に叡智への挑戦を投げ続けているのです。
 
 ゼロ…0という『無』の歴史をたどることで、人類の学問は少なからず進歩してきたと言っても過言ではないでしょう。
 
 現在でも、イエール大学で数学の修士号を取得したサイエンス・ライターで、科学誌を中心に多くを執筆している、チャールズ・サイフェという方が、「異端の数ゼロ」という面白い概念を取り上げて、その神秘の謎解きをされています! よかったら読んでみてください。
 
「異端の数ゼロ」 チャールズ・サイフェ 早川書房