錬金術の象徴体系

錬金術は3重の術であると先ほど述べました。
それはどのような意味を含んでいるのでしょうか。

錬金術には、3つの象徴物質があります。
「水銀・硫黄・塩」です。
そして「アゾート」と呼ばれる第四の神秘的な生命原理である
宇宙的不可視の炎があります。

この3つの物質のいずれも、三位一体の本性を含んでいるのです。
賢者の隠された奥義によれば、どれもが他の二つの物質を
それ自身の中に含んでいるといいます。


水銀=3水銀・1硫黄・1塩
硫黄=1水銀・3硫黄・1塩
塩 =1水銀・1硫黄・3塩



上のように、3つのうちの一つの元素がより支配的であり、優勢であるに過ぎないのです。
そして、これは、3(一つに含まれる元素3)×3(3つの象徴物質)=9という部分に、
第四の神秘源泉である「アゾート」を加えることで、
10となり、ピタゴラスの神聖数である「10」になる。ということなのです。 

このアゾートという神秘の本性については、様々な意見があって、
ある人は「不可視の永遠の火」といい、ある人は「電気」といい、「磁気」ともいいます。
またある超自然論者は「アストラル・ライト」のことだともいいますが、
私は、はやり次のようなものだと考えています。


アゾート・・・それは
『神の言葉』の流出であり、無限の生命霊であるところの「聖なる火」
また生ける水の川が「神」と「神の子羊キリスト」の御座から流れ出る
「神的なエネルギー」


フリーメイソンと呼ばれる秘密結社では、3重の術は、第33の位階の秘儀の一部を成しているようです。

3×3=9…つまり「秘教的人間と表す数」
「聖なる木」の根から流出する数である24を合わせたものが、33であり、
それは神の口から指令として流出する4つの川が潤すという
世界の数なのだといわれます。

これを読むだけでは、何とも不可思議な言葉の連なりだと感じることでしょう。
そうなのです。
それが奥義であり、象徴を説明するときの表現方法だからなのです。

錬金術がこれほどまでに、古代から現代にまで伝承される真実の学問である理由は、
そこにあると言えるのです。

誰しもが「ふんふんなるほど。」と理解でき、いつでも誰でも金を生み出すことが可能であるならば、錬金術は語り継がれることなどなかったでしょう。