精神分析・心理学者C・G・ユングは錬金術的伝統の探求を通じて、自分自身の直接的で個人的な「無意識の下降」によって得られた体験と洞察の数々を客観的に存在する類似材料に結びつけ、そうすることによって自らの体験と洞察とをことばにいい表すことができるようになったといいます。
ユングの著書「結合の神秘」によると、ユングが無意識の心理学を研究するにあたり、この心理学の新しい分野が、錬金術の秘密を解く鍵を提供するばかりでなく、逆に錬金術の方でも無意識の心理学に意味深い歴史的基盤を与えてくれたそうです。
錬金術の自然哲学的な性格や、宗教運動的な性格は、ほどんど誰にも知られていなかっただけでなく、ユング心理学の基盤となっている「元型」が新たに発見されたという事実も、大抵の人の目に触れることなく、あるいは理解を得るには至らないまま、その真理と奥義は隠されてつづけてきました。
錬金術とは、エジプトの秘術として存在し「世に知られた最古の学問の1つ」であり「占星術」であり「自然哲学」です。
また霊性(精神性)と肉体性との共在、人間性ないし人間類似性と神性との共在を目的とした自己変容への過程を伝えている「神秘の学問」なのです。
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