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錬金術と占い?


 ◎ 錬金術の始まり


エジプトの秘術とされた錬金術は、世に知られた
最古の学問のひとつなのです。
占星術と並んで先史時代まで遡って最古の文献を紐解いてみると、これらは人間が一度失ってしまった楽園を再び獲得できるようにと、神様が啓示した学問だとされているのです。 
この錬金術が地上の肉体をまとうと「化学」になったのです。
また、占星術は「天文学」として今日に至っています。 
古代人のあいだでは「学問」は神聖な領域に入る人しか知りえない教義のようなものでした。
象徴的な表現や、遠まわし的な言い方をしている錬金術や占星術を、神の叡智なる学問を理解することは神に近づくこと。として、解明・解読にすべてを注いだと言われています。


 錬金術の起源をめぐる謎については、多くの説が世界中にたくさんあるようですが、
ひとつにはエジプトの神秘的な半神半人「ヘルメス・トリスメギストス」によって
人間に啓示されたものだという説があります。
古代エジプトのトトから数世紀あとになり、ヘルメス・トリスメギストスという神の使者が現れて、
大いなる力を解き始めたというものです。
それは「エメラルド・タブレット」という石で出来たモニュメントに描かれていました。

そこにはこう書かれていたのです。


「これは偽りのない真実、確実にして、この上なく真正なことである。唯一なるものの奇跡を成し遂げるにあたっては、下にあるものは上にあるもののごとく、上にあるものは下にあるもののごとし。
万物が一者から一者の瞑想によって生まれるがごとく、万物はこの唯一なるものから適応によって生じる。
太陽が父であり、月がその母である。風はそれを己が体内に運び、大地が育む。
これが全世界の完成の原理である。その力は大地に向けられるとき、完全なものとなる。
地上から天上へと昇り、再び地上へと降りて、上なるものの力と下なるものの力を取り集めよ。
こうして汝は全世界の栄光を手に入れ、すべての暗闇は汝から離れ去るだろう。
火から土を、粗雑なるものから精妙なるものを、ゆっくりと巧みに分離せよ。
これはあらゆる力の中でも最強の力である。なぜなら、それはすべての精妙なるものに打ち勝ち、
すべての固体に浸透するからである。世界はそのように創造された。驚くべき適応はこのようにして起こる。
こうして私は全世界の哲学の三つの部分を持つがゆえに、ヘルメス・トリスメギストスと呼ばれる。
私が太陽の働きについて述べることは、以上である。」




中世においては、錬金術はひとつの哲学、学問としてだけではなく、宗教としても存在していました。
錬金術は万物に「神」が内在すると教えています。

そして術を学ぶことで、卑金属であるものはことごとく純金に変容されることを体験として獲得できれば、
自分も「神」への信仰と接近によって、卑しい動物的な欲望から解放され、
純粋な金色に輝く神の意識へと変容することで、救済が完成する。と信じていたのです。

3世紀頃、ゾシモスという錬金術師がいたそうです。
まだその時は、錬金術は多く知られていませんでした。

パラケルススという医学博士が中世になって登場します。
彼はその研究を、幻視や神秘的な背景に基づいて行われたとされています。

医学品の作成に関する多くの教えや、霊的な魔術、カバラ、キリスト教神秘主義の分野に
その要素が組み込まれています。
彼は錬金術の奥義を紐解きながら、たくさんの「錬金術の大いなる作業」や「賢者の石」についての
文献や研究を残していかれました。


  錬金術の意味


錬金術には、世界の成り立ちや、創造の神秘、人間と宇宙の関係など、
すべての概念が散りばめられているのです。
パラケルススを初めとした錬金術研究者は、結論として次のようなことを述べていました。

「錬金術の処方を試みようとする人に警告したい。
黄金を手にしようと実験に実験を重ねても、遂行するのにふさわしい素質を持たない人にとっては、
時間と財産と労力を浪費するだけでからである。」 と。


秘儀に通じた人は「金」を作り出すことに成功し、無知蒙昧な人には何も起こらないのだそうです。
ヘルメス学としての象徴や寓話、形象図や寓意図などに巧みに隠されているものは、
不変の法則としてあるものなのだそうです。
そして、人は術の奥義に通じて再生することなくしては、偉業を達成することはできないとも言われます。


錬金術は、あなたにとっては何の変哲もないただの石かもしれないものが、その力を知った者にとっては黄金よりも尊いものとして変容するという意味を持っているものだからなのでしょう。


       
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【錬金術についての説明は、象徴哲学体系「秘密の博物誌」第四巻 著者マンリー・Pホール 人文書院  より引用致しました】