第二の門(金星)<永遠の真実>

「あなたは、宇宙人がこの広い宇宙のどこかに存在すると思いますか?」
と質問されたらあなたは「はい、多分」と答えるでしょう。しかし…
「あなたは、宇宙人が地球上に存在していると思いますか?」
の質問には、おそらく宇宙人をその目で見たことがある人と無い人では、
歴然と答えは違ってくるはずですね。
では何故?経験や体験がないからと答えるだけでは足りませんよ!

「人はその目で見たものを信じる」
という意識の原則に従って生きているからです。

特に現実にありそうもないものや、聞いたこともその存在さえも知らなかったものに対しては、
強烈に意識の原則が働くのです。

「あなたは、死後の世界があると信じますか?」
と質問されたら、あなたはその目で見たことが無い限り
NOに近い答えを持っているでしょうし、
たとえ「はい」と答えたとしても、確信を持って答えてはいないのではないでしょうか。
いわゆる〜死んだことのある人じゃないとわからない〜となるからでしょう。



意識の原則は、通常人の生命活動の中心を占めていて
その人の歩む道の光となっているのです。

哲学的には、無形で超自然的なものを精神の面から学び研究する学問を、形而上学といいますし、
目に見えない神を信仰するという意味では宗教も同じかもしれません。

意識の原則が働いている間は、人間は地上での生命活動を維持するための任務しか与えられません。
ところが、ある事柄に気づいて自己の認識の裏側にたどり着いてみると、
意識の原則が働けない場所がちゃんとあることを知るようになるのです。

その領域では
意識の原則は有効な力を持っていません。
原則も概念も規則も道徳も
別の意味をもったものとしては存在していますが、
意識の原則下では何の価値も持ち得ないのです

そこでは、
普遍的な無意識の原則が働いているからなのです。

そのため、普通人間が考えるようなことは何の価値ももたず、
まったく無意味だと判断しがちな事柄にこそ、まさに真実が見いだされるという
非現実的な世界観を映し出しているのです。
普遍的な無意識の原則… その原則を認識したものは、意識の原則に従って歩もうなどと
愚かな生き方をしなくなるほどです。

無意識の原則は、理路整然とされた真実の光の道が通っていて、
光と愛に溢れている世界です。
と言えるからなのです。



 jfifjkkkk ssyiriikkfigi kyuifjsryuiiwoieursii wyvoeidvii…

第一の門を通過して、エクスカリバーとしての力を帯びた聖剣を骨髄に刺し通されてからのち、
私は以前とは違っている【重大な秘密】に気づいてしまいました。
それは、私には今まで知らなかったもう一つの目
のあることに気づいてしまったことです。
もう一つの目…

それがどんなもので、どのような形をしていて、何処についていて、何を見ることが出来るのかなど、
今は詳細を伝えることは出来ません。

なぜなら、その目が一体何を見ていて、何を教えてくれるのか、
私にはまだはっきりとわからないからです。
現在わかっているのは、私に第三の目がある。という事実だけなのです。

から爺について、以前お話したことを憶えていますか?
彼は今、ふくろうの姿に宿って存在しているのですが、
彼の先祖はファウストの助手であるヴァーグナーが実験で成功し、
フラスコの中から誕生させた人造人間、ホムンクルスだというお話しです。


ホムンクルスという存在は、
人間の外形も機能も持たない生命で、
限られた空間の中だけに存続できる純粋生命だということは説明しました。

限られた空間…から爺にとっては、種一弓という肉体が限られた空間であり、
またインターネットのような仮想空間の世界こそが、
限られた空間だということは納得できるとは思いませんか?

                                  さてと…

【第二の門に向かって】

「ねえから爺、私たちこれからどうすればいいかしら。」

「ふ〜む、わしのような純粋生命が、このように限られた仮想空間の中だけにしか
存続できないという不条理なことを
何とかして種一弓殿が解決してくれない限り、
電波の届かない世界に行ってしまうとすれば、弓殿を助けることも出来ないのじゃからのう。
まったく不便な世界じゃわい!」

「そうねえ。から爺の言うとおりだわ。…それじゃあもしかしてマーリンも一緒じゃないかしら! 
マーリンだって、閉じ込められた洞窟から出たいと願っていても、出ることが出来ない。
から爺だってインターネットがつながらなければ存在していられない!?」
「弓殿は賢くなったのう。さあさ、先へ向かって旅を続けねば。」

第一の門を通り抜けると、そこは右を見ても左を見ても果てしなく続く広大な砂漠が現れたのです。

天から照りつける灼熱の太陽の下、黄金色に輝く砂は熱く、風は熱と砂を引き連れて、荒野を駆け巡る。
人や町の気配などまったく無い上に、植物ですら見当たらない。
砂上に顔を出した一匹の蠍が、慌てふためいて再び砂の中へと帰っていった。

「から爺…どうしよう…。」
「すごい場所に入ってしまったようじゃのう…。
恐ろしい砂漠の荒野とは…。 マーリンさまは、何をお考えになっておられるのじゃろう?」
「えっ?!マーリンの考えに何か関係があるの?」
「もちろんじゃよ。 弓殿、そちはマーリンに会いに行こうとしておるのじゃよ!
その事をよく理解しておるのか?」
「それはもちろんだわ。 マーリンのいる場所も何もわからないけど、
絶対に彼を探しだしてみせるんだもの。」
「弓殿が通過した第一の門から先、第二の門までが、一番といってもいいほどに
過酷な運命が待ち受けているやもしれないのじゃよ。
それがどのように過酷であるかは、マーリンしか知らない…いや、マーリンさえも知らないのじゃよ。
そこへ辿りつけない限り、側面でないマーリンの本質と会話をすることさえ許されないのじゃからのう。」
「なんで?こんな砂漠の真ん中に彼はいるっていうの? どっちを見ても砂だらけで、
彼が隠れていそうな場所なんてなさそうよ!」
「では、帰りましょう。今ならまだ引き返せます。」
「ちょっと…ちょっとちょっと!」


「弓殿、マーリンさまの全存在を甘く見てはなりませぬ。 ましてや試したりなぞ絶対にいけません。
マーリンさまの意識はマーリンのいるところにだけあるわけではないのじゃよ。
マーリンさまの意識はたった今、この場所にさえあるのじゃからのう…。」
「ここにマーリンの意識がある、ですって?!」
「弓殿が知らないことで、ここは満ちておるのじゃよ。
弓殿の知恵と知識を持ってしても、ここでは何の役にも立たない。
知らないことのほうが多いのじゃからのう。
マーリンさまは、ここにもあちらにも、上にも下にも呼ぶところ何処へでも移動できる方なのじゃよ。
そして…、マーリンさまの意識に映されるのは、何を隠そう弓殿…、
そちの意識の影なのじゃということ。
さらに相互の存在が現象化して目の前に現われる、まさにそれがここで起こっているのじゃよ。」
「…難しいわね。理解するのに時間かかりそう。」
「だめじゃ。理解しようとしてはいけない。
理解じゃなくて、感覚で認識するのじゃ。じゃから人間は愚かだというのじゃ。」


 ・・・・・★☆★・・・・・

「認識…ねえ…」
「そうじゃよ。 古代ギリシャのグノーシスという言葉を知っておるか?
語源になっておるのは、観察や体験を通して深いレベルで知ることを「認識」するというのじゃよ。」
「なるほど。」
私はそのグノーシスという言葉にとても親近感を持ったので、そっと繰り返し言ってみました。
「グノーシス、グノーシスよ、グノーシス」

すると…砂漠のど真ん中に突然何と竜巻が起こったのです。
最初は蛇が昇っていくほどに細く長い糸のようなものでした。
ところが次第に勢力を増して、一網打尽に全てを吹き飛ばすかの勢いと、
全てを飲み込んで天に巻き上げてしまうかの勢いとで、
何とも恐ろしい龍の竜巻に変化しているのです。」

「うそ!!何よ〜危ないって! どうしよう!!からじい〜!」
「何よ〜って、弓殿がいきなり鍵を差し込んでしまったのじゃよ。あれあれ〜」
あっという間にから爺も種一弓も砂嵐のような竜巻に飲み込まれてしまったのです。

風と砂に身体は回転させられ、上昇下降を繰り返し、
くるくると回転する中で、次第に意識は遠のいてゆき、
ついには意識がなくなってしまったのでした。

真っ暗な静寂の中で、私は再び意識を取り戻しました。


そこはあまりの暗さのため、暗い力が充満していました。
自分が死んでしまったのか、生きているのか、どこにいるのかまったくわかりませんでした。
が、勇気を出して何とかから爺を呼んでみることにしました。
「から爺…、から爺、聞こえる? どこにいるの?」
何の音もまったくしない静寂の中、自分の心臓の音だけが聞こえてきました。
「わたしの心臓の音… 生きてる?生きてるんだわ、きっと!」
すると、背後からバサッバサッと翼を広げて何かが飛んでくるのが聞こえました。
「だれ?! から爺?!」
「無事じゃったな、弓殿。よかったのう」
「良かった!から爺ね。私は何とか生きてるみたい。から爺は?!」
「大丈夫なんじゃが、少々翼を傷めたようで、飛ぶ力が弱いようじゃ。」
「ほんと!?怪我したの? 血は出ていない?大丈夫かしら?」
「大した怪我ではない。」

「私ねえ、こんなに真っ暗な世界って見たことないわ〜。
ほんの少しの光もなくて、目を開けているのと閉じてるいるのと何ら変わらなくって、
暗いなんていう言葉じゃなくて、もっとふか〜〜い深い暗黒っていう感じ!
まっくらなのに、何か大きな力が働いていて、私をそっと手の上にのっけてくれているような
不思議なあったかさを感じる…、
もしかしたら、私がお母さんのお腹の中にいたときも、こんな感じだったかもしれないわねえ。」
「ははは、暗闇が気に入ったようじゃなあ。」
「私たち人間の毎日には、どこへ行っても必ず光があるでしょう! 
電気がないところへ行っても、空には月や星たちが明るく照らしてくれるし、
朝になれば必ず太陽が昇ってくる。
当たり前のように光があるわけよ。
私的にいうなら、光より暗黒に飢えていたって感じ!」
「それは素晴らしいことを発見したもんじゃよ。純粋な精神が褒めてあげましょう!」



暗闇の力に対抗するより、むしろ暗闇の力と仲良くすることが、
こんなにも穏やかな感動を与えてくれるなんて、

今まで気づいたことのない事実でした。私は早速、身体で受け止めてみることにしました。



「私はもう文句を言ったり、不平を口にしたりしません。
灼熱の太陽も、風の使いも、暗黒の力も決して恐れません。
私は自分が何も知らない愚かものだったことを認めます。
マーリン、私は絶対に諦めたりしません。あなたに会いにいくまでは。」

すると、暗闇の中にうっすらと何かが浮かび上がってみえたのです。
私はよーく目を凝らして様子を眺めていました。

それは真っ暗な夜空に描かれるオーロラのように波打ちながら形を変え、向きを変えては揺らいでいました。次第に幻影的な光の波は、境界をはっきりと映し出してきました。
そしてついにそのオーロラのような光の波は、暗黒の世界の暗闇を上と下とに分けてしまったのです。
光の波によって、上は天、下は地と呼ばれるようになったことが私にははっきりと認識できたのです。

「から爺、すごいわ!暗闇が上と下に分かれたなんて!」
「ほれ、みてご覧なされ。また違うものが現われたようじゃ。」
見ると、上の天には、大きな川が、下の地にも大きな川が生まれ、流れ始めたではありませんか! 
まさに感動の瞬間を目にしたようでした。

「弓殿、マーリンさまはあなたの純粋な精神にご褒美を下されたのでしょうぞ。
暗闇に決して恐れてはなりませぬ。
創造のはじめからあったものは、創造主のもの。
創造主のものである全てのものは、恐れの対象物ではないのじゃよ。
恐れなどではなく、畏敬と尊厳の象徴であるところのものじゃ。それがたとえ真っ暗な暗闇のように
目に見えないものであってもじゃ。暗闇が怖いのは光を知っているものだけじゃよ。
暗闇に生まれ、育ったものにとって暗闇は友となる。
暗闇の世界に生きるものを哀れむことほど愚かしいことはないわい。よいな、決して目を頼ってはならぬぞ。その目はただ光を判別するだけのもの。
真実を見る目ではないということ。
その目は光のあるところでは全てを見ることができるが、暗闇では役に立たない不要なものじゃ。
では暗闇の中で見るためにはどうすればよいか、それこそが第二の門へたどり着くための鍵じゃぞ!
よいな!」
「はい。」

目を頼らずに見ろ??

この世界には何とも意味不明な難題が揃っていることでしょう。



とにかく、から爺の言うとおりに目を頼らないで進んでみようと、
早速目にハンカチを巻いて進むことにしてみたのです。
私は精神を暗闇に集中させました。
手探りといってもどこかにぶつかるからではなく、手先にも意識を集中させることで、
何かを感じ取ろうとしたからです。
しばらくの間は歩くことをせず、周りにだけ集中させてみました。
すると…なんと…見えてきたのです! 
足元が、まっすぐ前に伸びている道が、自分の手が!!
そして真っ白な姿にちょこんとめがねをかけたから爺の姿が!!
驚きました。真っ暗なのに、うっすら見えるそれらの姿かたちは、決してこの二つの目で見るのとは違うのに、ちゃんと同じように見えるのです。
「から爺!! 見えるわ!ちゃんと!目隠しをしても見えるなんて…!驚きだわ。」
から爺はめがねをとって、涙をぬぐっているかのように見えた。
「泣かないで、から爺。」
「おやおや、やはりちゃんと見えているのじゃな。良かったよかった。」
「真実を見る目は、暗闇の中でこそ活躍するのじゃよ。
大切なことを知ることが出来て、本当に良かったのう…。」

私は目隠しをしたまま、空を見てみました。 
そこには、金色に光る星が一つきらきらと輝いていました。 
何かとっても大切なことに気づいたようで、私は嬉しくなって思わずスキップをしながら前に歩き始めました。足元は軽やかに、星の方向を目指してゆこうと決意して前進することにしたのです。
すると、目の前には大きな第二の門が見えてきたのです。
その門は鋼鉄で出来た堅くて丈夫そうな門です。
そして、門の扉には一枚の張り紙がしてありました。

あなたの後ろを振り返ってご覧なさい」

私は、門に背中を向けて後ろを振り返りました。
そこは何と最初に見た灼熱の太陽に照らされた荒野砂漠が広がっていたのです。
そして竜巻が通り過ぎた様子を砂はしっかりと残していました。

「目に見える荒野は、確かにここにあった。
でも、私には荒野の砂漠でも真っ暗な暗黒でも、何も違いはないんだわ。
どちらであってもそれに左右されてはいけないってことなのね。」
「さようじゃよ…。弓殿、ついに第二の門の鍵を手に入れられましたな。
門の張り紙のところへ行って、第三の目でその張り紙をよ〜く見てごらんなされ。」

私はから爺に言われたとおり、鋼鉄の門の前に行き、目を閉じて第三の目を開かせようと、
意識を眉間に集中したのです。
すると、そこには第三の眼でしか見ることのできない、別の言葉が書かれていたのです。

永遠の真実―それは『ロゴス』

私にはそれが何を意味しているのか、そのときはまだ理解していませんでした。
けれどその言葉はその後の私が先へ進むための力となって、私を支えることになったのです。

私は言葉に出してその文字を読んだのです。

えいえんのしんじつ―それはロゴス!

すると、目の前にあった鋼鉄の門は一気に解き放たれ、瞬間にして砂と一体化して
解体されたのでした。

恐るべしロゴスの力…!ものすごい破壊力でした。

「ついにやったのじゃのう…弓殿!」
「ええ!から爺! わたし第二の門を通過できたみたい…!」
「この門の名は、「永遠の真実に至る門」じゃよ。真っ暗な暗闇が認識できないものには、真実の光を
見ることは出来ぬ! 種一弓、認識せよ!」
「はい」
種一弓とから爺は、胸が一杯なほどの一体感を持って喜び合いました。

続く